朝焼け

 海辺で朝焼けを見た。

 空の底から高級な卵の黄身のような太陽が登る。私は瑠璃色の地球の「朝日が水平線から光の矢を放ち」の意味を知った。太陽が全部の色を連れてきて、空全体が虹色のグラデーションになる。凪いだ水面は偏光パールのように複雑でまろやかに輝く。吉田博の版画は忠実にこの色を再現しているなと思った。

 綺麗なものを見ると、その美しさをたとえようとして脳はライブラリから引用できそうな情報を引っ張ってくる。気が利いてるけどいらないサービス。そのものをそのものとしてのみ感じたい。