走らされている

 図書館で詩集を借りてきた。気になっていた詩があったのだ。

 詩集を借りたのは初めてだ。そして、借りて初めて分かったことだが、今の私は詩をちゃんと読めない。

 なぜなら、目がめちゃくちゃ滑るからだ。

 行間を味わうために慎重に読みたいのに、目が勝手に次の行に進む。さらに、坂道を転がって雪玉が大きくなっていくように、読めば読むほどスピードが加速していく。「読んだね?じゃあ次!」「この行も読んだね?次!」という感じで目が(脳が?)味わう時間を持たせてくれない。噛まないでご飯を飲み込んでいるのと同じだ。

 速く読みたいのは時間を有効に使いたいと思っているからなのかな。タイパ主義に人生が乗っ取られている。人生のテンポがシャトルランの後半ぐらい速くなって、着いて行けてないのになぜか走り続けている。誰かが、人生はマラソンだと言っていたが、今の私の人生はシャトルランなのか。走っているのではない、走らされている。シャトルランはずっと大嫌いだったのに。